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美里駅 |
秩父山地の奥深く甲武信ヶ岳を源流とする千曲川。長野県北部を貫き、飛騨山脈にその流れを発する最大の支流犀川(さいかわ)と長野市で合流し、さらに北東へ流れを向け新潟県に入ります。本流は信濃川となり、魚野川を合わせ新潟市で日本海へ注ぐ長さ367キロメートルにも及ぶ我が国第一の長流となります。信濃川上駅からこの千曲川と小海線は谷を同じくし、その間には本流、支流にかかる鉄橋が60ヶ所、トンネルが5ヶ所あり、流れと路線はぴたりと寄り添うように終点まで続いて行きます。
現在、小海線には31の駅がありますが、昭和10年に小諸〜小淵沢間が開通した当初は29駅でした。その後、佐久平駅と「美里駅」が開設されましたが、この美里駅は無人駅ながら、待合室はログキャビン風で公衆トイレ、公衆電話、ロータリーや駐輪場が整備されていて、今風のとてもおしゃれな駅です。次の「三岡駅」も公衆トイレ、公衆電話が整った駅なのに、駅前には昔ながらの
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三岡駅 |
乙女駅 |
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“駄菓子屋”がポツリとあるだけで、そのアンバランスが何とも言えない駅となっています。
駅名から人気が出そうな「乙女駅」を過ぎ、「東小諸駅」から「しなの鉄道」に合流します。そして終点「小諸駅」。小諸は古くから北国街道(現国道18号線)と甲州佐久往還道(現国道141号線)の交わる要衝の城下町であり、また佐久地方の商業の中心として発達してきました。しかし何より小諸を知らしめたのは島崎藤村でしょう。藤村は、明治32年から7年間教師としてこの町に赴任し、その間『千曲川旅情のうた』『千曲川スケッチ』『落梅集』『破戒』などの詩文を発表しています。なかでも「小諸なる古城のほとり…」ではじまる『千曲川旅情のうた』は城跡「懐古園」と「千曲川」の名を「小諸」とともに広く知らしめました。
懐古園とそこから眺める千曲川は旅情をかきたてる景色ですが、その正面には奇岩に覆われた山があり、その中腹に「布引観音」釈尊寺があります。「牛に引かれて善光寺詣り」という伝説はこのお寺がはじまりなのです。また釈尊寺は美術史的にも鎌倉期のすぐれた建築とされています。(完)
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東小諸駅 |
小諸駅 |
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